民間医療保険が「ギャンブル」と言われる理由は、保険料を払ってもそのリスクが発生しない可能性が高く、実際に受け取る保険金が支払った金額に見合わないケースが多いからです。
健康であればあるほど「払い損」になりやすいことから、賭けのような要素があるとされています。
心配だからと不要な保険に加入していると、使えるお金もそれだけ制限されてきます。
今回は私の社会人になってからの入院経験も踏まえて紹介していきますので、保険依存からの脱却する参考にしていただければ嬉しいです。
得をする人はほんの一部
保険の仕組み
保険会社は利益を上げるために、加入者全体から集めた保険料の一部を支払い、残りを利益とします。
つまり、統計的に見れば、多くの加入者は受け取る保険金よりも支払う保険料の方が多くなるように設計されています。
そのため、加入者にとっては払い損になるリスクがあり、保険を必要としない限りお金を失う「ギャンブル」のような構造になります。
項目 | 説明 |
保険料収入 | 加入者が支払う保険料。保険会社の収入源となる。 |
保険金支払い | 保険事故が発生した場合に、加入者に支払われる保険金。 |
運営費 | 保険会社の運営にかかる費用(人件費、広告費など)。 |
リスク管理費 | 予測できない大規模な支払いに備えるための資金。 |
利益 | 保険会社が得る純利益。残った金額が利益となる。 |
保険の期待値は
ギャンブルと同じなら、結局ほかのカジノゲームの様に期待値が計算できるでしょう。
実際に計算してみましょう
①保険料を仮定
まず、保険料の支払い総額を計算します。
例えば、月々の保険料が5000円で、保険に加入する期間が10年間(120ヶ月)と仮定します。
支払う保険料の総額 ⇒ 5000円 × 120ヶ月 = 60万円
②保険でカバーされる主な病気とリターン(給付金)
次に、保険でカバーされる主な病気と、それに対する保険のリターン(給付金)を見積もってみましょう。
たとえば、以下の病気にかかった際に受け取れる給付金を仮定します。
- 入院費用補償: 入院1日あたり1万円(20日入院の場合) → 20万円
- 手術費用補償: 1回の手術で30万円
- 診断一時金(がんなど重大疾病): 50万円
③発生確率とリターン期待値の計算
入院、手術、重大疾病が発生する確率を仮定し、リターンをざっくり見積もります。
- 入院の確率: 30%(リターン20万円)
- 手術の確率: 10%(リターン30万円)
- 重大疾病(がんなど)の確率: 5%(リターン50万円)
それぞれの病気について、リターン期待値を求めます。
- 入院のリターン期待値: 20万円 × 30% = 6万円
- 手術のリターン期待値: 30万円 × 10% = 3万円
- 重大疾病のリターン期待値: 50万円 × 5% = 2.5万円
④合計リターン期待値
リターン期待値を合計すると、次のようになります。
- 6万円(入院) + 3万円(手術) + 2.5万円(重大疾病) = 11.5万円
⑤期待値の比較
支払う保険料総額が60万円に対して、リターン期待値は11.5万円です。
この差額(約48.5万円)は、リスク管理や精神的な安心感に対するコストとして支払う形になります。
どうでしょうか?
リスク許容度は人それぞれですが、私にはあまりに低く感じられます。
公的医療保険にみんな入ってる
そもそも私も含め、皆さんも毎月の給料から「健康保険料」を天引きされていると思います。
皆さん、自分がどんなことを保障されているか、実際知っている人は少ないかもしれません。
私も病気とかかかるまでわかりませんでした。せいぜい自己負担が3割になるという事ぐらいでしょうか。
日本は国民皆保険
職業などによって加入する保険に違いはありますが、国民全員が保険に入れるようになっています。
- 健康保険(雇用者保険)
-
主に企業や公的機関に勤める従業員向け。企業と従業員が保険料を負担します。
- 国民健康保険
-
自営業者や無職者向け。フリーランスも含まれます。自治体が運営し、保険料は所得に基づいて計算されます。
- 後期高齢者医療制度
-
75歳以上の高齢者向けで、自治体が管理しています。
つまり、みんなある程度の保障がきちんと用意されているよという事です。
公的医療保険でカバーされないもの
健康保険制度の理念に「必要最小限・平等」というものがあります。
じゃあ、必要最小限というのはなんなの?と言うと以下の通りです
- 先進治療
- 治療以外の医療行為(整形とかレーシックとか)
- 保険対象外の医薬品
- 病院の個室(ベッド代の差額請求とか)
上記以外の治療ならば…
健康保険証さえ持っていれば、全国どこに行ったって断られることはないし、治療費が変わるという事はありません。
いわゆる平等というやつです。さらに自己負担は原則3割負担です。
原則といったのは、自己負担額の上限が設定されているからです。
「300万円の治療費で3割負担だから90万円ね」みたいにはならないってことです。
高額療養費制度を使った時の話
十二指腸潰瘍穿孔でひと月入院した23歳
大学卒業後、東大阪にある製造業の会社に入社した私。働き出して一年ほどのことでした。
大きな病気をしたことがなかった私は、どんなに大変でもまさか身体を壊すとは思っていなかったです。
当時、会社の仕出し弁当の洗剤の味がするレタスを食べるのが嫌だった私は、毎日近所のコンビニにパンと飲み物を買いに行っていました。ある日、リプトンのミルクティーを飲むと、胃に立ち上がれないほどの激痛が。
何日か前から、肺か心臓あたり痛いなーと思っていましたが、胃だったとは。
そのまま、課長に軽トラで家まで送ってもらって、保険証をもって病院へ。
レントゲンを撮って、すぐ入院でした。
胃酸が十二指腸の壁を侵食して穴が開いていたらしく、ミルクティーが腹腔に漏れて腹膜炎を起こしていたんですね。
仕事は精神的にも負担あったものの、うつ的なやつは性格的に全然大丈夫でしたので、「やっと休める!」と2週間で済む開腹手術を拒否して、ひと月点滴で自然療法とりました。
当時は何故か穴を縫わなくてもすぐ直る自信があり、実際1週間ちょっとでもう何か食べても大丈夫なぐらいにはなっていたと思います。相部屋だとしても病院が快適すぎて退院したくなかったです。
退院する時は、どうなるんだろうとドキドキしていましたが、当時10万ぐらいにしかならなかったと思います。
どんな制度なのか
同じ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、限度額を超えた分が、あとで払い戻される
表にある様に所得600万円以下であれば約8万円と医療費数千円程度で済みます。
あらかじめ、「限度額適用認定証」の交付を受けておけば病院窓口で支払う金額が最初から自己負担限度額になるそうです。私が入院したときは記憶ないですが、一時的にでもお金を用意するのは大変なので良い制度です。
こういった制度を知らないがために、民間保険に精神的安定を求めるのかもと思い紹介しました。
これはサラリーマンの場合
健康保険と”国民”健康保険
保険料負担 | 扶養制度 | その他の制度 | |
健康保険 サラリーマン | 会社と折半 | あり | 傷病手当金 出産手当金 など |
国民健康保険 自営業 | 全額自己負担 | なし | なし |
国民健康保険が全額自己負担な一方で、会社員は会社が半分負担してくれます。
また、扶養というかんがえがあり、妻子を扶養に入れると扶養に入れた人分の保険料を負担する必要はありません。
その他にも傷病手当金が付きますので病気や怪我で働けなくなったときに生活が保障されてます。
傷病手当金が貰える条件4つ
- 業務外の病気や怪我により、休業している事
- 療養のために仕事に就くことができない事
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けない事
- 休業中に、給与の支払いがなかったこと
受給期間は1年6ヶ月。ざっくりですが、前年の平均月収の3分の2が貰えます。
結論、サラリーマンの4つのメリット
何の病気でもどこでも3割です
収入によって上限が決まっていて高額になる事はありません
会社が半分負担してくれるのでお得です
長期治療になっても安心の保障がついています
どうでしょうか?
当然税金を使っているわけですから、民間保険ではこれだけの保障をするのは難しいでしょう。
まとめ
もちろん、対象の病気にかかり保険で助かった方も大勢いることでしょう。
でも、計算したようにリターンとして期待できる金額は少ないです。
ほとんどの人は負けて損しており、そうでないと当然保険会社も商売として成り立ちません。まさにギャンブル。
こういうギャンブルをするぐらいであれば、普段から健康的な生活をおくり(胃に穴が開かないように)、
いざという時に多少の貯金を貯めておく方が気が楽というものです。
ギャンブルを脱した方が良い理由を紹介させていただきました。
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