転職活動では、新しい職場の給与や仕事内容に目が行きがちですが、「社会保険」や「税金」の影響についても事前に知っておくことが大切です。
知らずにいると、思わぬ出費や手続きを見落とし、後から負担が増えてしまうことも…。
例えば、退職後の健康保険はどうするべきか? 住民税の支払いはどうなるのか? 転職先で年末調整を受けられなかった場合、確定申告が必要になるのか?
こうした疑問を事前に解決しておくことで、スムーズに転職し、新しい仕事に集中することができます。
本記事では、転職活動中に気をつけたい 社会保険と税金のポイント について、わかりやすく解説します。
転職を控えている方や現在転職活動中の方は、ぜひ参考にしてください!
転職時には健康保険や年金、雇用保険の取り扱いが変わるため、適切な対応をしないと未納や不利益が発生することがあります。ここでは、転職時に特に気をつけるべき 社会保険のポイント を解説します。
転職時に関係する社会保険のポイント
1. 健康保険の切り替えと選択肢
退職すると、これまでの職場で加入していた健康保険を脱退することになります。
次の職場で健康保険に加入するまでの間、以下のいずれかを選択する必要があります。
① 健康保険の「任意継続」
退職前の健康保険を 最長2年間 継続できる制度です。
- 退職前と同じ保険が使える(扶養家族も継続可能)
- 自治体の国民健康保険より保険料が安くなることがある
- 保険料は全額自己負担(会社負担分がなくなるため、約2倍になる)
- 退職後 20日以内 に申請しないと利用できない
② 国民健康保険(国保)に加入
住んでいる市区町村の「国民健康保険」に加入する方法です。
- 保険料は前年の所得に応じて決定される
- 会社員以外でも加入できる(フリーランスや無職の人も加入可能)
- 保険料が高額になることがある(特に高収入だった人)
- 扶養の概念がないため、家族分の保険料も個別にかかる
③ 配偶者の扶養に入る
配偶者が会社の健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば 扶養に入ることができます。
- 保険料の自己負担なし(会社が負担してくれる)
- 国民健康保険や任意継続より経済的な負担が少ない
- 年収130万円未満(住民税非課税世帯は106万円未満)である必要がある
- パートやアルバイトで収入が増えると扶養を外れる可能性がある
2. 厚生年金の継続性
転職先も厚生年金なら、自動的に継続
- 転職先で厚生年金に加入すれば、年金の支払いは 給与天引き で継続される
- 年金記録も自動的に引き継がれるため、特別な手続きは不要
転職までに期間が空く場合は「国民年金」に加入
- 転職までの期間に無職になる場合、国民年金(第1号被保険者) に切り替える必要がある
- 手続きは 市区町村役所 で行う
- 未納期間が発生すると 将来の年金額に影響 するため、忘れずに納付する
ポイント:収入がない場合は 「免除申請」 も可能
3. 失業保険(雇用保険)と受給条件
失業保険(雇用保険の基本手当) は、次の仕事が決まるまでの生活を支援するための制度ですが、受給には条件があります。
① 失業手当をもらうための条件
- 退職前 2年間に12カ月以上 雇用保険に加入していた
- 積極的に就職活動をしていること(求職活動の実績が必要)
② 退職理由による違い
退職理由 | 失業手当の開始時期 | 給付日数 |
---|---|---|
会社都合退職 | 退職後 7日+1カ月後 | 最短90日~最長330日 |
自己都合退職 | 退職後 7日+2カ月後 | 最短90日~最長150日 |
- 会社都合退職:倒産・解雇などの場合は給付が手厚い
- 自己都合退職:給付開始が遅く、給付日数も短くなる
③ 失業手当の申請方法
- 退職後、ハローワークに行く
- 離職票(会社から受け取る書類) を提出
- 雇用保険説明会に参加し、求職活動を開始
ポイント
①転職がすぐ決まっている場合は、失業手当をもらわない選択肢もある
②在職中に次の仕事が決まれば、そもそも失業手当の申請は不要
4. 転職時にやっておくべき社会保険の手続き
項目 | 必要な手続き | 申請先 |
---|---|---|
健康保険の切り替え | 任意継続 / 国保 / 配偶者の扶養を選択 | 健康保険組合 / 市区町村役所 |
厚生年金から国民年金への切り替え | 退職後に加入手続き | 市区町村役所 |
失業保険の申請 | 離職票を提出し、求職活動開始 | ハローワーク |
転職先での社会保険加入 | 入社後に自動加入(必要書類を提出) | 会社の人事部 |
まとめ:転職時の社会保険は早めに確認!
- 健康保険は「任意継続」「国保」「扶養」の3つから選択
- 年金の未納期間を作らないようにする
- 失業保険は退職理由によって給付条件が変わる
- 退職後の手続きは期限があるので、早めに対応する
転職時は、つい仕事探しに集中しがちですが、社会保険の手続きを忘れると、医療費の自己負担増や年金未納など、思わぬリスクが発生する こともあります。
事前にしっかり準備をして、スムーズに転職を進めましょう!
転職時の税金に関するポイント
転職時には、住民税・所得税・退職金の税金 など、意外と見落としがちな税金の支払いが発生します。
適切な対応をしないと、思わぬ支出や確定申告の手間が増えることも…。
ここでは、転職時に特に注意すべき 税金のポイント を解説します。
1. 住民税の支払いに注意!
住民税は、前年の所得に基づいて課税されるため、「転職後の収入が減ったとしても、前職の収入に応じた住民税を支払う必要がある」点に注意が必要です。
① 住民税の支払い方法
住民税は通常 「特別徴収」 という形で給与から天引きされますが、退職時の状況によって支払い方法が変わります。
退職時期 | 住民税の支払い方法 |
---|---|
1~5月に退職 | 残りの住民税を 一括で支払う |
6~12月に退職 | 転職先で引き継がれる or 普通徴収(自分で納付) |
✅ 1~5月に退職する人の注意点
- 住民税を一括払いする必要がある ため、まとまった支出が発生する
- 退職後の資金計画を立てておく
✅ 6~12月に退職する人の注意点
- 転職先が決まっている場合は、新しい会社で引き継ぎが可能
- 転職までの間が長い場合は、住民税の納付書が届き、自分で支払う(普通徴収)
ポイント
退職時に会社の経理担当者に「住民税の支払い方法」を確認しておくと安心です。
2. 年末調整と確定申告の違い
① 転職した場合の年末調整
年末調整は、給与所得者が1年間の所得税を精算する制度ですが、転職時期によっては年末調整を受けられない ことがあります。
転職時期 | 年末調整の対応 |
---|---|
年内に転職し、新しい会社に在籍 | 転職先の会社が年末調整を実施 |
年末までに転職せず、無職の期間がある | 自分で確定申告が必要 |
✅ 転職先で年末調整を受けるには?
- 前職の源泉徴収票を提出する(退職時に会社からもらう)
- 生命保険料控除・扶養控除などの申告書を提出する
✅ 年末調整を受けられなかった場合(確定申告が必要なケース)
- 年末時点で無職だった(退職後、年内に転職しなかった)
- 転職先で年末調整を受けられなかった(年末調整の締切後に入社した場合など)
- 副業収入や退職金などがあり、追加の税金精算が必要
確定申告は 翌年の2月16日~3月15日 に行われるため、該当する場合は忘れずに手続きをしましょう。
3. 退職金にかかる税金
退職金には「退職所得控除」という制度があり、通常の給与よりも税負担が軽減されます。
① 退職所得控除の計算方法
退職金の税金は、以下の計算式で決まります。
📌 退職所得控除額の計算
- 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
- 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)
📌 退職所得の計算 (退職金−退職所得控除)÷2=課税対象額(退職金 − 退職所得控除)÷ 2 = 課税対象額
例:勤続15年、退職金500万円の場合
- 退職所得控除額 = 40万円 × 15年 = 600万円
- 退職所得 = 500万円 − 600万円 = 0円(課税なし)
ポイント
①退職金が退職所得控除を下回る場合、税金はかからない
②確定申告不要(会社が源泉徴収して納税を代行するため)
注意点
①退職金を一時金ではなく「企業年金」として受け取る場合、課税方式が異なる
②「退職所得控除」を活用するために、一括で受け取るか分割受取するか事前に確認
4. 転職時の税金対策のポイント
- 退職後の住民税の支払い方法を確認する(特に1~5月退職の人は一括払いに注意)
- 転職先で年末調整を受けるために「前職の源泉徴収票」を準備する
- 年末時点で無職なら確定申告が必要になる可能性がある
- 退職金の受け取り方によって税負担が変わるため、事前に控除額を確認する
まとめ:転職時の税金は「住民税・所得税・退職金」に注意!
💰 住民税 → 転職時期によって 「一括払い」or「普通徴収」 になる可能性あり
📑 年末調整・確定申告 → 転職時期によっては確定申告が必要
🏦 退職金 → 退職所得控除を活用すれば、税負担を大きく減らせる
転職時の税金は見落としがちですが、事前に準備しておけば大きなトラブルを避けることができます。
特に、住民税の支払い方法や退職金の控除額は、退職前にしっかり確認 しておきましょう!
まとめ:転職時の社会保険と税金は事前に確認しよう!
転職活動では、新しい職場の条件に目を向けがちですが、社会保険や税金の手続きも重要 です。
適切な対応をしないと、未納や思わぬ出費が発生する こともあります。
✅ 社会保険のポイント
- 退職後の健康保険は 「任意継続」「国保」「扶養」 の3つから選ぶ
- 年金の未納期間を作らない ように、必要に応じて国民年金に加入
- 失業保険の受給条件を確認 し、手続きを忘れない
✅ 税金のポイント
- 住民税は前年の所得に基づくため、退職後も 支払いが必要
- 転職時期によって 年末調整 or 確定申告 の対応が変わる
- 退職金の税負担は「退職所得控除」で軽減 できるため、計算方法を確認
転職は新たなキャリアのスタートですが、社会保険や税金の手続きを適切に行うことで、スムーズに移行 できます。余計な負担を避けるためにも、事前に準備を整えておきましょう!
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