住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を購入・改築した際に受けられる税額控除で、年末調整で自動的に控除されるのは2年目以降。
1年目はサラリーマンでも確定申告が必要となります。
この記事ではサラリーマンに馴染みのない確定申告の手続きについて紹介していきます。
住宅ローン控除1年目に確定申告が必要な理由
住宅ローン控除の1年目に確定申告が必要な理由は、税務署がその住宅の購入・借入状況などを正確に確認するためです。
住宅ローン控除は2年目以降、勤務先が年末調整で適用しますが、1年目は税務署が「住宅を取得し、住宅ローンを組んだ事実」を証明するための書類を提出する必要があるため、確定申告が必須です。
これにより税務署が1年目の控除額を確認し、2年目以降の年末調整で控除が自動的に反映される仕組みが整います。
必要書類のリスト
1. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書
- 役割
住宅ローンの年末残高を証明する書類で、控除額を計算するために必要です。 - 入手先
住宅ローンを組んだ金融機関から毎年送付されます。
初年度は確定申告の際に原本を提出します。
2. 住民票
- 役割
取得した住宅が実際に居住用であることを証明します。 - 注意点
住宅ローン控除は「居住用」に限られるため、住宅の住所に転居していることを示す住民票が必要です。 - 入手先
市区町村の役所で発行してもらえます。
3. 不動産売買契約書または工事請負契約書のコピー
- 役割
住宅を購入または建築した際の契約内容を証明するための書類です。 - ポイント
契約日や購入金額など、控除対象となる住宅取得に関連する情報が含まれていることが重要です。 - 注意
原本ではなくコピーを提出します。
4. 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 役割
住宅の所有権が本人にあることを証明します。 - 入手先
法務局で取得でき、住宅の所在地を管轄する法務局で発行を依頼できます。
5. 確定申告書(申告書AまたはB)
- 役割
確定申告のための基本的な申告書で、住宅ローン控除を受けるために必要です。 - 入手方法
税務署またはe-Taxサイトからダウンロード可能です。
6. 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 役割
住宅ローン控除の金額を計算するための書類で、必要な情報をもとに控除額を算出します。 - 入手方法
税務署またはe-Taxサイトから入手できます。
確定申告の手順
1. 必要書類の準備
- 事前に以下の書類を揃えます:
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書
- 住民票
- 不動産売買契約書のコピー
- 登記事項証明書
- 確定申告書(申告書AまたはB)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
2. 申告書の作成
- e-Taxを利用する場合
- e-Taxサイトにアクセス
国税庁のe-Taxサイトにアクセスし、必要なソフトウェアをダウンロードします。 - 確定申告書等作成コーナーを利用
画面の指示に従い、各項目を入力します。
住宅ローン控除に関連する項目も順次入力し、計算明細書もe-Tax上で作成できます。 - マイナンバーカードが必要
e-Taxでの提出にはマイナンバーカードを利用します(ICカードリーダーが必要)。
- e-Taxサイトにアクセス
- 税務署へ直接提出する場合
- 確定申告書を手書きまたは国税庁の作成コーナーで印刷
国税庁の確定申告書作成コーナーを利用して入力し、作成した申告書を印刷。 - 提出方法
記入済みの申告書と必要書類を準備し、最寄りの税務署に直接持参または郵送で提出します。
- 確定申告書を手書きまたは国税庁の作成コーナーで印刷
3. 控除額の計算
住宅ローン控除額は借入金残高に基づき、申告書内で自動計算されます。
e-Taxでは計算が自動化されるため、間違いが少なくなります。
4. 必要な情報の入力
申告書に沿って、年収や住宅ローンの借入残高、住宅の契約日などの必要情報を正確に入力します。
計算ミスを防ぐために、確認しながら進めましょう。
5. 申告書と書類の提出
- e-Taxの場合
入力が完了したら、そのまま送信することで申告が完了します。 - 税務署提出の場合
準備した書類を税務署に提出します。
直接持参の場合は税務署で確認を受けられるため、書類に不備がないか安心できます。
6. 還付金の確認
申告が完了すると、数週間後に還付金が銀行口座に振り込まれます。
還付までの期間は1~2か月ほどが目安です。
提出期限と注意点
1. 提出期限
確定申告の期間は、毎年 2月16日から3月15日 までです。
この期間内に申告書を提出する必要があります。
申告が遅れると控除が適用されず、還付を受けられない場合があるため、必ず期間内に申請を行いましょう。
2. 提出期限を過ぎた場合の対応
万が一、期限に間に合わなかった場合でも「還付申告」として5年間は過去の分も申告可能です。
ただし、還付が遅れるため、早めの対応が望ましいです。
3. 書類の不備に注意
確定申告の際は、揃えるべき書類が多く、特に住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書や住民票などの提出漏れがあると申告が不受理となります。
提出前に書類を必ず再確認しましょう。
4. 申告書の内容に間違いがないか確認
住宅ローンの残高や借入日など、申告書に記載する情報に間違いがあると控除額に影響が出ます。
記入内容をよく確認し、特にe-Tax利用時は画面のガイドに沿って入力することで正確な申告ができます。
5. 還付金の振込口座の確認
還付金が指定口座に振り込まれるため、銀行口座の番号を正確に入力しましょう。
口座情報に誤りがあると還付が遅れる可能性があります。
2年目以降の年末調整での流れ
1. 年末調整での住宅ローン控除申請
2年目以降は毎年年末調整のタイミングで控除が適用されるため、確定申告は不要です。
会社から配布される年末調整用の書類とともに、「住宅借入金等特別控除申告書」を会社に提出するだけで控除が適用されます。
2. 必要書類の準備
- 2年目以降に必要な書類は次の2点です。
- 住宅借入金等特別控除申告書
初年度の確定申告後に税務署から送られてくる書類で、必要事項がすでに記載されています。
毎年年末調整の際にこれを会社に提出します。 - 住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書
金融機関から毎年発行される書類で、その年の住宅ローン残高を証明するものです。
こちらも年末調整の際に提出します。
- 住宅借入金等特別控除申告書
3. 勤務先への提出
上記2つの書類を会社の経理や総務など、年末調整を担当する部署に提出します。
提出することで、会社が住宅ローン控除の手続きを年末調整の一環として行ってくれます。
4. 控除の適用と税額調整
会社で年末調整が完了すると、所得税の住宅ローン控除が適用され、その年の税額が調整されます。
控除額が給与から引かれるため、手続きは非常にシンプルです。
5. 翌年以降も同じ手順を繰り返す
住宅ローン控除の適用年数(一般的に10年間)までは、毎年この手順を繰り返すだけです。
特に住所変更やローンの内容変更がない限り、特別な手続きは必要ありません。
まとめ
住宅ローン控除は、マイホームの購入や改築をした方にとって大きな税額控除のチャンスです。
しかし、1年目は確定申告が必要で、書類の準備や手続きに少し手間がかかる点に注意が必要です。
2年目以降は年末調整で簡単に控除が適用されるため、初年度の手続きをしっかり行うことで今後の負担を軽減できます。
住宅ローン控除を最大限に活用し、家計の負担軽減につなげましょう。
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