タイヤ交換のシーズンが来るたびに、手間や費用が気になっていませんか?
特に、冬タイヤと夏タイヤを使い分けている方にとっては、そのコストや交換の手間が家計や時間に大きな負担をかけることもあります。
そこで今回は、1年を通して使用できる『オールシーズンタイヤ』という選択肢をご紹介。
交換不要でコストを抑えながら、安全性と利便性を兼ね備えたタイヤのメリットと注意点について詳しく解説します!
オールシーズンタイヤとは?
オールシーズンタイヤは、その名の通り、1年を通して使用できるタイヤです。夏タイヤ(サマータイヤ)と冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)の中間的な性能を持ち、四季のある地域での使用を前提に設計されています。以下に特徴を挙げて説明します。
特徴
- 夏と冬の両方に対応
- 夏場の高温の路面でもしっかりグリップを発揮し、雨天時の排水性能にも優れています。
- 冬場の雪や薄いアイスバーンにも対応できるよう、特殊なゴム配合とトレッドパターン(接地面の溝模様)が採用されています。
- スノーフレークマークが目印
- オールシーズンタイヤの多くは「スノーフレークマーク」(雪の結晶と山岳のマーク)を取得しており、一定の冬道性能が保証されています。
- ただし、スタッドレスタイヤほどの性能はなく、積雪が多い地域やアイスバーンが頻発する環境では適していません。
- タイヤ交換が不要
- 季節ごとにタイヤを履き替える必要がないため、交換の手間や工賃を削減できます。
- 専用のタイヤ保管スペースも不要になるのが魅力です。
こんな方に向いている
- 雪がほとんど降らない、または積もる頻度が少ない地域に住んでいる人。
- 車を通勤や日常利用で主に使う人。
- タイヤ交換の時間やコストを削減したい人。
オールシーズンタイヤは、「タイヤの使い分けをしたくない」「簡単で経済的な選択肢が欲しい」という人にとって、便利で合理的な選択肢となります。ただし、万能ではないため、地域の気候や使用条件に応じて慎重に選ぶことが大切です。
始まりはグッドイヤーから
日本国内でオールシーズンタイヤの普及は、北米(普及率80%)や欧州(50%)に比べて低く、環境厳しいものがあります。
その理由は、日本豪雪やアイスバーンでは専用のスタッドレスタイヤの信頼度が高く主流となっているからです。
また、国内メーカーは積極的にオールシーズンタイヤを推進していないという事もあります。
そんな中でオールシーズンを継続して推し進めてきたのがグッドイヤー。
1977年に世界で初めてオールシーズン「TIEMPO(ティエンポ)」を投入したのがグッドイヤーです。
「TIEMPO」の次に投入されたのが1980年の「ARRIVA(アリーバ)」です。
これを経て1984年から「VECTOR(ベクター)」シリーズに至ります。
シリーズは1990年代に「VECTOR 2」「VECTOR 3」へ。
2000年代に入り「VECTOR 5」「VECTOR 5+」、2008年「Vector 4Seasons」に至ります。
そして2016年、それまで輸入タイヤだったものを国産へ切り替えサイズ拡大も実現。「Vector 4Seasons Hybrid」としてリスタートを切りました。
2018年から新たにSUV用「Assurance WeatherReady」を加え、最新は第3世代となる「GEN-3」に進化しています。「VECTOR 4SEASONS GEN-3」と「VECTOR 4SEASONS GEN-3 SUV」を同時投入しプレミアム路線に進みました。
オールシーズンタイヤの歴史はグッドイヤーの歴史と言えそうです。
メリット・デメリット
オールシーズンタイヤのメリット
- タイヤ交換の手間と費用を削減できる
- 季節ごとにタイヤを買い替える必要がないため、交換費用や交換作業にかかる手間を省けます。
- タイヤ保管のスペースを気にしなくてもよいのも大きなメリットです。
- 突然の雪にもある程度対応できる
- スノーフレークマークが付いた製品なら、路面が少し凍結している程度なら走行可能。
- 「あまり雪が降らないけれど、年に数回積雪がある地域」に最適といえます。
- 全体的なバランスの良さ
- 夏タイヤほどグリップ力が高いわけではありませんが、普段使いでは十分なレベル。
- 大雨でも排水性を意識して作られている製品が多く、オールラウンドに活躍します。
オールシーズンタイヤのデメリット
- 極端な天候下では性能が劣る
- スタッドレスタイヤほどの深い雪道性能やアイスバーンでのグリップ力は期待できません。
- 大雪が頻発する地域や山間部には不向きです。
- 耐久性・寿命が短くなる可能性
- 1年を通して履くため、夏の高温や冬の寒冷といった過酷な環境に常にさらされます。
- その結果、専用タイヤよりも摩耗が早いケースがあります。
- 専門タイヤのような性能特化ではない
- 夏タイヤやスタッドレスタイヤと比べると、どちらの性能も「そこそこ」に留まります。
- サーキット走行など、スポーツ走行を楽しむ方には物足りないかもしれません。
- 価格が割高な場合も
- オールシーズンタイヤは特殊なコンパウンドや設計が必要なため、夏タイヤ・冬タイヤより高めに設定されている商品もあります。
- 長期的には交換費用を抑えられるものの、初期コストは要チェックです。
「オールシーズンタイヤなら、1年中そのまま使えて楽!」と思いがちですが、あくまで夏・冬タイヤの“いいとこ取り”を狙う製品という位置づけ。
大雪や凍結など、過酷な気象条件には対応しきれない場合もあるので、地域や走行環境に合わせた選択が重要です。
各社のタイヤ
1. ブリヂストン(BRIDGESTONE)
- Weather Control A005 EVO
- 欧州の厳しい天候テストでも評価の高いシリーズ。雨天時の排水性能と軽い雪道に対応する設計。
2. ミシュラン(MICHELIN)
- CrossClimate シリーズ(例:CrossClimate 2)
- 「夏タイヤ並みのドライ性能+スタッドレスタイヤに近い冬性能」を両立させたモデル。
スノーフレークマーク取得で突然の降雪にも安心。
- 「夏タイヤ並みのドライ性能+スタッドレスタイヤに近い冬性能」を両立させたモデル。
3. グッドイヤー(GOODYEAR)
- Vector 4Seasons シリーズ
- オールシーズンタイヤのパイオニア的存在。
季節変化が激しい欧州での実績が豊富で、安定したコーナリングとブレーキング性能に定評あり。
- オールシーズンタイヤのパイオニア的存在。
4. ピレリ(PIRELLI)
- Cinturato All Season+
- スポーティな走りを求めるユーザーからの人気が高い。
乗り心地の良さや静粛性も考慮して設計されている。
- スポーティな走りを求めるユーザーからの人気が高い。
5. コンチネンタル(CONTINENTAL)
- AllSeasonContact
- 省燃費性能と天候への対応力をバランス良く備えたモデル。
欧州テストでの評価が高く、排水性にもこだわりがある。
- 省燃費性能と天候への対応力をバランス良く備えたモデル。
6. ヨコハマ(YOKOHAMA)
- BluEarth-4S AW21
- 日本の道路環境に合わせて開発されたモデル。
雨天・雪道の両方で安心できる性能を目指しながらも、比較的リーズナブルな価格帯。
- 日本の道路環境に合わせて開発されたモデル。
7. ダンロップ(DUNLOP)
- ALL SEASON MAXX AS1
- 夏の路面でのドライ&ウェット性能を確保しつつ、冬の路面でのグリップにも配慮した設計。
日本の多様な気象条件に対応しやすく、静粛性と乗り心地のバランスにも力を入れている。
- 夏の路面でのドライ&ウェット性能を確保しつつ、冬の路面でのグリップにも配慮した設計。
まとめ
オールシーズンタイヤは、夏と冬でタイヤを交換する手間やコストを抑えつつ、年間を通じてある程度の走行性能を確保できる便利な選択肢です。
特に、雪が少ない地域や日常使いがメインのドライバーにとっては、交換や保管の手間を大幅に減らせるメリットがあります。
一方で、スタッドレスタイヤのような深雪や極寒地での走行には限界があるなど、専門タイヤほどの性能は望めない点も踏まえる必要があります。
各メーカーが様々な商品を展開しているため、自分の住んでいる地域や走行スタイルに合ったオールシーズンタイヤを選んで、安心かつ経済的なカーライフを送ってみてはいかがでしょうか。
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