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普通のサラリーマンがポルシェ911(996)楽しく維持できるか考えてみた

ごく普通のサラリーマンの私ですが、昔から一度乗ってみたいと思っていたポルシェ911について
購入を検討してみました。私は33歳ですが、かれこれ6台中古車を乗り換えています。
ずっとMT車に乗っていましたが、最近ずっと乗りたいと思う車が無くて困っていました。
ただ、リア駆動車にはもう一度乗りたくて。
そこでMT縛りを少しやめてみたら少し選択肢が増えるのではないかと探してみたことがきっかけでした。
911に一度乗ってしまうと次の車を考えるのは難しい(いい意味で)と思い嫌厭していましたが、タイミング的にATだとしても911を乗れるのはラスト近いかな。ポルシェならATでも。という思いもあり視野に入ってきました。
そもそもこういう趣味性の高い車はお金の観点でいくと浪費ですが…それでも欲しい。
私と同じように996を考えている方は参考にしてみてください。そんな方がいるのかわかりませんが…

目次

正直、996辺りしか買えない

私が社会に出て3年目ぐらいの2016年あたりは空冷モデルも500万円代からありました。
買っておけばよかったと後悔しています。
現状993以前の空冷エンジンを搭載したモデルはおおよそ1000万円~。安くて900万円のプレミア価格です。
996以降搭載された水冷エンジンのモデルは新しいほど高いので、必然996になってきますね。

996の相場観

もちろんヤフオク現状販売で探したり、カーオークションで修復歴のある車両探せば100万円代であります。
ただ狙うはそこそこの車両。カーセンサーで996を探していきます。

マイナーチェンジ後の後期で良い弾を探すと素で400~500万円ぐらいが相場といったところ。
ティプトロニック(AT)が多くなりました。
マイナーチェンジ前の前期は特別なものを除き、マイナス100万円。
6MTや4輪駆動のカレラ4、4Sになってくるプラス100万といったところでしょうか。
因みにターボはプラス200万~、GT2GT3といったモデルは、996型とか関係なく1000~3000万円します。

997と991を見上げる

上を見るとキリがないですが、もう少し出せるなら、次期モデルにあたる997が少し新しいだけあってまだ弾があります。ティプトロですと996後期ちょいプラスで買え、PDK(DCT)で600~700万円ほどです。
996のカレラ4S辺りを狙うと少し足せば997後期が視野に入ってきます。

さあ、ここまでくると随分と現代的な車になってきました。
この値段の997を買うなら、もうプラス100万で次期モデルの991を買えば維持費考えると変わらないのではと
考えてしまうのが人情です。

どうでしょうか?
何となくですが、ちょっと古いポルシェの相場観やネオクラシックに足を踏み入れだした996の立ち位置みたいなものがイメージできてくるかなと思います。

狙いは素のカレラ

話を戻すと、普通のサラリーマンである私が911を購入するなら、996の後期ティプトロニックを狙います。
もちろん上を見たらキリがありませんが、ベーシックな991も十分な乗り味を楽しめることでしょう。
MTに乗りたい気持ちはありますが、個体が少なすぎますし高い!
前期はヤレた個体が多すぎ、後期であればある程度素性の良い個体を探せそうです。
ティプトロニックに期待しつつ、400万円そこそこの個体を何とか狙うのが今なら良さそうです。

996の位置づけ(独断と偏見)

経営危機を乗り越えた良パッケージ

この車のヒストリーにも触れておきたと思います。大まかなところはwikipediaさんを参照していただけると
詳しいのでお勧めです。ここではwikiに載っていないところに触れたいと思います。

wiki⇒https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB996

私の996の印象は「近代の車」です。911シリーズはモデルごとに正常進化しています。
930で大排気量化。964でモノコックボディのコイルサスに。993でリアマルチリンク化、そして、996で水冷化しDOHC4バルブエンジンへ。以降、997で直噴デュアルクラッチ搭載と続きます。

ボディサイズも993に比べて全体に大きくなりました。
しかし、1370kgあった993に比べて996は1345kgと重量の増加は抑えられており、今の車に照らし合わせると、全長4430×全幅1770×全高1305は決して大きくない、手の内に収まるサイズ感です。

バブル崩壊直後の世界的な不況に経営危機に陥っていたポルシェ社。
996に与えられた命題は効率的生産管理だったようです。
ポルシェ社は総責任者として、ホルスト・マルヒャルト氏を起用し、今までの単独車両開発から脱却。
986ボクスターと共同開発し、生産ラインと部品を共通化するというポルシェ社として初めての試みにトライしました。トヨタなどメジャーどころでは一般的でしたが、当時フロントサス、水冷エンジン、ボディの一部を車格的に下位にあたるモデルと共用することにユーザーは不満を抱いていた様です。
しかし結果として、1000万円という価格で大ヒットを収め、現在に至っては手に入る価格に落ち着いている訳ですから、そのコストパフォーマンスの高さはありがたい限りです。

M96エンジンについて

996開発当時欧州の自動車メーカーには様々な環境適合要求が課せられ変動の時期でした。
特に911にとって、排出ガス規制、燃焼効率、車外騒音規制と空冷エンジンを続けるには致命的なことでした。
冷却的にシングルカム2バルブの燃焼室でしたし、強制冷却を担う軸流式空冷ファンの騒音が車体の斜め後方から測定されるため、水冷化による環境対応は必然だったと言えると思います。
水冷化によって環境性能に適合しただけではありません。
エンジン自体は小型軽量化され前後重量バランスも改善しましたし、EUで取り決められた次世代の乗員保護規定を満たすことができました。要はフロントスクリーンと乗員の距離を適切に取れたという事です。
こういったことからも、やはりパッケージに一番影響を与えたのはこのM96エンジンだったのではと思います。

real carrera has four camshaft」本物のカレラは4カム(つまりツインカム)というフレーズに接したことのある方はすくなくないでしょう。当時356などでレース系エンジン搭載車を強調するフレーズでした。
996では環境適合により図らずも水冷化され、ツインカムになったM96
バリオカムと呼ばれるシステムも同時に搭載しており、これはエンジン負荷と回転数に応じ、バルブタイミングを制御する複雑なシステムでした。

また、ポルシェの基礎研究に端を発する技術がふんだんに盛り込まれているのもM96の特徴のひとつです。
例えば、極めて低いフリクションを実現するためにピストンヘッドの精差管理を徹底的に行っています。
993まではマーレ製鍛造ピストンを4種にグルーピングされていましたが、996では2グループのみです。
シュミット製のピストンも加わったことを考えると驚異的な品質管理といえます。
M96/01型(前期3.4L)のピストンスピードは17.61m/sec、M96/03型(後期3.6L)は18.75m/secと鍛造らしい攻めた設定となっていることが分かります。

MY02のマイチェンモデル

MY02=モデルイヤー2002です。MY02では大幅なリニューアルが施されました。
ボクスター風のヘッドライトが、ターボ同様のヘッドライトになりました。
また、排気量が200ccアップとなる3.6L水冷水平対向DOHC24バルブとなり、バリオカムプラスとして動弁系が進化しています。

前期に比べ、程度の良い個体も多く、現実的な選択肢になってくるかと思います。

みんな心配996のE/gトラブル

水冷一発目のエンジン、しかもRRとあって、潤滑問題があるようです。
どんなクルマでも何かしら不具合はあるものですが、破損すると200~300万ぐらいかかってきますので、馬鹿になりません。皆さんが心配する内容は主に二点かなと思います。

6番シリンダー(4番,5番も)傷

ピストンのセラミックコーティングが剥がれて、シリンダーの上側に傷がつくそうです。
傷が行くとオイル上がりと圧縮抜けの原因となるので、シリンダー交換となりますが、まあ高いですよね。
潤滑不足が原因なようで、私的には常温の動粘度が低かったり、長期に乗ってないとドライスタートとなり、傷になるのではないかと思います。
潤滑が良くなるように対策することもできますが、適正オイルを入れる、ちょくちょく乗る、定期オイル交換する、といったところからだと思います。
これは前オーナーの乗り方にも寄りそうなのでいい個体を見分けるしかなさそうです。
オイルが燃えると匂いや白煙となるので、絶対買う前にエンジンは掛けた方がいいですね。
IMSベアリングと共に詳しい対策が名古屋のフラットシックスガレージさんのサイトに
ありましたのでリンク貼っておきます。

セラミックコーティングの剥がれたピストン

IMS(インターミディエートシャフト)ベアリング問題

こちらも有名ではありますが、最近の車両はある程度安心して購入できるのかなと考えます。
ベアリングの破損が原因でIMSが破損し、バルブタイミングが合わずブローするというお話です。

基本wikiとフラットシックスガレージさんを見ればよいですが、書いてないところで言うと、ポルシェ公式がPJ01,PJ03と呼ばれるサービスキャンペーンを実施しています。オイルパンを外して金属の切粉や破片がないか確認する目視点検で大概の車両は受けているはずです。
必要に応じて修理、交換をしてもらえるので、このサービスを受けておけばひとまず安心かと思います。
また、正規ディーラー車の場合、社外品を組んでしまうと正規ディーラーでのサービスキャンペーン対象外となってしまうので、注意が必要です。

ポルシェリコール情報⇒https://www.porsche.co.jp/recallinformation/2013-10-25b

ミツワ物など一部の車両は、並行扱いで当該サービスキャンペーンの対象外となるので、フラットシックスガレージさんなどで交換してもらうのが良いかもしれませんね。

996の維持費どれだけ掛かりそうか

ざっくり最低限計算しました。年間1万キロ走行したとして46万円。タイヤは早めの3万キロ前提です。
ここから更に修理費が乗ります。

タイヤ

上記は17インチを前提としています。
皆さんこだわりがあると思いますので、大きく変わりそうなので上記の表は沿わないかもしれません。
個人的に認証タイヤ(N指定タイヤ)にこだわりが無ければミシュランのパイロットスポーツ4がオススメです。
調べるのが面倒な人向けに銘柄を紹介しておきます。ピレリはN認証タイヤですね。

F;205/50R17 R;255/40R17の場合
  • ミシュラン Pilot Sport 4
  • ピレリ P ZERO ROSSO
  • ブリヂストン Potenza RE050A
F;225/40R18 R;285/30R18 or R;295/30R18の場合

285は18インチオプションホイールで、295はカレラ4用です。

  • ミシュラン Pilot Sport 4S
  • ピレリ P ZERO ROSSO
  • コンチネンタル ContiSportContact 7

オイル

オイルはちょっと高めになっています。人によってはそんなもんとおっしゃるかもしれないですが。
こちらも皆さんこだわりがあり、算出が難しい項目だと思います。
トラブルの話でも結局オイル管理が重要な車になってくるので、ポルシェのアプローバル(認証)オイルにすると良いと思います。Porsche A40と記載あればOKです。各社色々あり数十種あるので好きなの選んでください。
自分で買うなら、グループⅢ基油だと1500円/Lぐらいから、グループⅣ基油だと3000円/Lぐらいからあります。

交換部品あれこれ

記事を書くにあたり、何かしらまとめようと思いましたが難しかったです。
この年式の車になると、ブッシュ類、ホース類、ATFやショックアブソーバーといった油脂類は全て交換が必要であり、既に交換済みで販売されているパターンも多いと思います。

ただ一つ言えるのは、コツコツ必要な箇所だけ直すより、予防整備的にできるだけ一気に交換した方が工賃が安く済んで結局良いと思います。こういった車の維持費が高いと思われる要因のひとつですね。
各地のポルシェセンターで点検してもらうとして、50万~100万ぐらいの整備貯金ができれば欲しいところですね。

996の維持費って高い?

年間の維持費としては、ざっくり50万~といったところです。同価格帯の車としては高い方ですね。
このあたりのクラスから理想と現実の違い、つまり「乗りたい車」と「乗ることができる車」は違うことを思い知らされます。うっかり手を出せば「いっ…維持費が高すぎて息ができん!」と目を白黒させることになりかねません。

ポルシェ996を維持するための年間支出割合

例えば、年収500万円だとすると、手取りでおおよそ350万円、ひと月当たり29万円です。
計算しやすいように、維持に年間60万円必要とすると、ひと月当たり5万円です。
5万円÷29万円≒17%を維持費に使用する計算になります。
家賃、駐車場、購入資金、光熱費といった固定費を引くと自由に使えるお金の支出割合はさらに増えます。
こちらの数値が現実的かは人それぞれなので、計算してみて欲しいですが、
それなりの覚悟をする必要はありそうです。

結論;ポルシェ996アリかナシか

正直、維持費としては厳しいですが、少しでも現実的な金額で911に乗ることを考えれば、金額的にも程度の良い弾数的にもリミットは迫っているといってよいでしょう。
数年前からすると確実に中古車価格は上昇しており、私もそれを実感しています。
個人的には今後金額が下がることは考えづらく、最後のチャンスかなと考えます。

平成30年1月1日発行;911DAYS vol.70 特集 今こそ996の話をしよう

この7年間で確実に相場上昇しているのがわかります。
ここでは最後のチャンスとして、相応の維持費を覚悟できるなら、アリ!と締めさせていただきます。
お付き合いいただきありがとうございました<(_ _)>

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この記事を書いた人

こんにちは!
大阪出身で、現在は3度の転職を経て兵庫でプレス金型の設計をしているノブです。
このブログでは、車趣味の私がカーライフを維持する為に向き合ってきた、節約やお金の使い方にまつわる話題を紹介して、皆さんと共有したいと思います。

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